4日、NHKは、日立電線と共同で地上デジタル放送のSFN(単一周波数ネットワーク)中継局の送受信アンテナ間で発生する回りこみを効率的に抑制する遮蔽システムを開発したと発表した。
地上デジタル放送では、周波数を有効利用するため同一の周波数でネットワークを構成するSFN中継局が多数整備される予定で、SFN中継では上位の中継局からの受信周波数と放送波の送信周波数が同じため、送信アンテナから発射された電波の一部が受信アンテナに回り込み、音響のハウリングに似た発振現象が発生するおそれがある。これを避けるためには、受信アンテナを送信アンテナから遠ざけて別の鉄塔に設置(送受分離方式)したり、回り込みキャンセラーなど電気的な信号処理により発振を抑制する必要があった。
従来、この回り込み抑制のため、送受信アンテナの間に遮蔽板が設置されてきたが、遮蔽板は送信アンテナから受信アンテナに直接届く電波は遮蔽できるが、遮蔽板の外周がアンテナのような特性を持ち、そこから再放射される電波によって十分な遮蔽効果が得られない場合があり、十分な効果を得るには外周に電波吸収体を取り付けたり、非常に大きな遮蔽板を用いるなどの工夫が必要だったという。
今回開発されたシステムでは、遮蔽板の外周と送信アンテナの指向性パターンの電界が最小の方向(ヌル方向)が一致するようにその大きさと設置位置が最適化されており、これにより遮蔽板から再放射される電波の強さを抑制することができ、小さな遮蔽板でも大きな遮蔽効果が可能となっている。
同システムを利用することによりマイクロ波による中継方式やSFNの送受分離方式に比べ大幅な整備経費の低廉化が期待でき、地上デジタル放送ネットワークの効率的な整備が可能となるとし、NHKは今後、同システムの実用化に向け、フィールド試験を行っていく予定。